『てばなす』は【手放す】が正しい使い方です。
『手放す』は、
- 物を売るとき、捨てるなど、自分の所有物でなくなるとき
- 手に持ったものから放すとき
- 自分の近くから放す
などのときに使います。
(例文)大切な研究データを手放して、大金を手に入れた
『離』という感じを使う場合は、【手離れ】という使い方になります。
手離す、手放す、正しいのはどっち?
正しいのは『手放す』
我が家にある国語辞典を引いてみました。
今回使った国語辞書は、『角川書店の国語辞典』『ベネッセのチャレンジ小学国語辞典』の2冊です。
『てばなす』で引いてみると、どちらの辞書も
で記載されていました。
他にも『手放し』という言葉も載っていました。
『離』はどんな時に使うの?
角川国語辞典には、『手離れ』という言葉が記載されていました。
試しにネットの辞書サイトなどでも検索しましたが、『手放す』はヒットするけれど、『手離す』はヒットしないか、出てきても言葉の意味は記載されていない、などでした。
『手離れ』ではきちんと意味も出てきましたよ。
手放すと手離れの違い
『手放す』はどんな場面で使うの?
2つの辞書をそれぞれ引用しますね。
- 手に持ったものを放す
- 所有物を人に売ったり、あたえたりする
- 自分のそばから放す
引用元:角川国語辞典
- 持っているものを手から放す
- 自分の持ち物を人にあげたり売ったりする
- 親が子供を自分のそばから放す
引用元:Benesse『チャレンジ小学国語辞典』
他にもネット辞書で調べてみても、同じような意味が出てきました。
【手放す】は、
- 自分の持っているモノや権利などを永久に譲渡する
- 持っているモノから手を放す
- 目にかけている人(子供や教え子など)を自分の元から解放する
という意味で使うのがいいですね。
『手離れ』はどんな場面で使うの?
- 幼児が母親の手から離れられるほどに育ったこと
- 製品などができあがって、手を加える必要がなくなったこと
引用元:角川国語辞典
と記載されていました。
- 育てていたものが完成して、自分の手元を離れていく
- 手がかからなくなる
という意味でとらえておくとよさそうですね。
正しい使い方
『手離れ』と『手放す』を使った文章をそれぞれ紹介しますね。
手放すを使った例文
- 彼は、収入の為に育てていた牛を手放すことにした。
- 長年住み慣れた家を、簡単に手放すことはできない。
- 母は大切な指輪を手放すことを決心した。
- 私は大事な猫を手放せず、一緒に連れていくことにした。
- 彼女はネガティブな感情を手放して、ポジティブに生きることにした。
- どんなことがあってもその美術品を手放すことはできません。
- 忙しくて手放せない仕事がある。
- 家屋敷を手放すのは惜しいが、誰も住まないなら仕方ない。
手離れを使った例文
- 子供が手離れしたので、趣味の習い事を始めた
- 息子が社会人になって、親から手離れした
- この製品は合格基準を満たしたので、製作担当者から手離れした
車や恋人も手放すが正解
車も恋人も所有権を失うという意味で『手放す』を使いましょう。
自分の元から去るというイメージで考えると、分かりやすいのではないでしょうか。
打消しの『ない』を付けるとどうなる?
手放すに『ない』をつけると
手放せない、手放さない、などの表記になります。
意味は『手放す』の反対の意味になり、
- 手に持ったものを放さない
- 自分の物や権利を他人に与えない
- 自分の傍から放さない
という意味になります。
手離れに『ない』を付けると
手離れしない、などのように使えます。
意味は『手離れ』とは反対の意味になり、
- 母親の手から離れるには、まだまだ成長が必要
- 製品が完成せず、加工の必要性がある
などの意味合いになります。
まとめ
『てばなす』『てばなさない』場合は、【手放す】【手放さない】を使いましょう。
また、手を加えて完成(生長)したものには、『手離れ』『手離れしない』を使いましょう。
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